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授業における配慮・支援について

授業における配慮・支援について

はじめに

具体的な先生方へのお願いは、「配慮依頼文書」に記載しております。配慮依頼文書に沿って、まずは障がいのある学生の状況や希望を確認して、授業担当としてできること、できないことを、当該学生と調整し合意するための対話(建設的対話)の場を設けていただけますようお願い申し上げます。なお、授業における「合理的配慮」は、評価基準を下げるなどの成績評価を変更するものでなく、あくまでも授業及び受験等の方法に関する配慮です。先生お一人で対応や判断が困難な場合は、障がい学生支援センターへご相談ください。

  • 【教職員向け】配慮依頼文書に記載されている個人情報の取扱について

     配慮依頼文書は、高度な個人情報です。配慮依頼文書を受け取った際は、文書そのものの取り扱いと共に、記載されている情報の取扱にも、十分にご注意くださるようお願いいたします。
     配慮依頼文書の個人情報の取扱に関して、他大学でもトラブルになる事例が散見されてきています。例を示しますので、取扱については十分ご注意くださるようお願いいたします。

  • 【教職員向け】配慮依頼文書に関するトラブル例

    ◇配慮依頼文書を受け取った時に、他の学生にも聞こえる状況で当該学生に事情を聞く。
    ◇配慮依頼文書を、他の教員との間で見せ合う。
    ◇配慮依頼文書を持参した学生に、「受け取れない」と言う。
    ◇自分が研究しているテーマに近いので、配慮・支援以外の目的で使用する。

  • 【教職員向け】性別の呼称

    障がいではありませんが、戸籍上の性別に違和のある学生が受講している場合がありますので、不必要な男女でのグループ分けや、外国語の授業での呼称(Mr.やMs.など)についてご留意ください。また名簿の性別情報の取扱いには十分ご留意ください。 呼称については、できれば「~さん」等に統一していただけると助かります。

「コミュニケーション」に困難がある学生の配慮・支援例

◇円滑なコミュニケーションに困難を抱えています。
◇人前で話すことに苦痛を感じる場合もあります。

  • 指示代名詞が何を指しているか、わからない

    聴覚情報の処理が苦手な場合には、「これ」「それ」「あれ」などの指示代名詞が何を指しているのかわかりません。具体的に、何のことを言っているのか明確にしてください。

  • 曖昧な表現や比喩的な表現が、わからない

    具体的な説明や、字義どおりに理解できる説明、その場のいわゆる「暗黙のルール」を、言語化や明文化して伝える必要があります。

  • 覚えることが苦手

    課題の締切りや物事を頭の中で覚えることが苦手な学生の場合は、重要なことや覚えてもらいたいことを、配布資料などの形が残るものに記述することで、見直して思い出すきっかけになることがあります。

  • 人と話せない

    ◇場面緘黙の場合、まず、話さないのとは違い、話せないということをご理解ください。「あなたの声が聞きたい」などと言って、無理に話させようとしたり、話さないことを責めたりすることはしないでください。
    プレゼンテーションについては、授業の本質を損なわない範囲で代替案をご提案ください(家でビデオ録画した発表内容を授業で発表する、プレゼンの代わりにレポートに替える等)。

    ◇呼吸器装着等で話せない場合は、PC使用等の発話代替機器の使用をお認めください。

    ◇どう思うか等の質問に対して答えられない学生もいます。授業の本質を損なわない範囲で、ディスカッションやグループワークの代替手段を検討してください。

    ◇人前で話すことを苦痛に感じ、精神症状が悪化する学生もいます。授業の本質を損なわない範囲で、ディスカッションやグループワークの代替手段を検討してください。

  • 情報が耳に入らず、聞き逃している

    聞き逃しているため、「わかったつもり」で行動してしまいます。情報が伝わっているか把握し、不足があれば再度伝達・補足をお願いいたします。

「読み書き」に困難がある学生の配慮・支援例

読み書きの困難さの理由は様々です。
◇読み書きの方法、読み書きに要する時間等に、配慮が必要です。

  • 文字が読めない場合

    文字が読めない状況は様々です。
    ◇見えているが読めない場合は、資料のフォントサイズの変更が必要になります。電子データで提供されたら、学生自身がタブレット端末やPCで拡大しながら読むことができます。また、板書については、タブレット端末やスマートフォンによる撮影をご許可ください。

    ◇文字が見えず読めない場合は、点字に翻訳したり、電子データにしてPCで読み上げたり、資料を別の人が声に出して読んだり(音訳)するなどの対応が必要となります。

  • 文字が書けない場合や、書くのが著しく遅い場合

    ◇PCでタイピングできる場合は、PC使用の許可をお願いいたします。タブレット端末のフリック入力ができる場合は、これらの機器の使用許可をお願いいたします。

    ◇可能な範囲で、ICレコーダーによる講義の録音をご許可ください。

    ◇必要に応じて、試験時間の延長をご検討ください。

    ◇必要に応じて、音訳や読み上げソフトの使用を検討してください。

    ◇必要に応じて、マークシート回答をチェック回答に変更することを許可してください。

「体調」や「気分」に不安定さを抱える学生の配慮・支援例

◇定期的な通院等や体調悪化等で欠席が多くなりがちです。
◇急激に身体症状や精神症状が生じる場合があります。
◇周りが気になり、授業に集中できない場合があります。

  • 欠席が多くなりがち

    授業担当者が、当該授業における学術的な要件をどのように求めるかによって、個別的対応が提示されると考えます。授業の本質を損なわない範囲で、欠席回数の猶予や代替課題の提示、試験の方法などについて、ご検討いただくことをお願いいたします。

  • 著しく苦手な状況がある

    ◇周囲の話し声等で、授業に集中できない場合は、ノイズキャンセラーやデジタル耳栓の使用の許可をお願いいたします。

    ◇周りの視線や状況が気になり、授業に集中できない場合は、座席位置にご配慮ください。

    ◇光を人より強く感じてしまう場合は、色付きレンズの遮光眼鏡を着用する必要がありますので、使用の許可をお願いいたします。

  • 急な予定変更に対応できない

    予定が変更になった場合は、本人が確実に確認できる連絡手段を、あらかじめ相談しておくことをお勧めします。

  • 授業中、不安感が強まり落ち着かなくなる

    急激に精神症状が生じた場合は、速やかに服薬や退室の許可をお認めください。また、難病等を抱え急な体調悪化が懸念される学生の場合は、前もって増悪時の対応法を確認しておく必要があります。

  • 服薬の影響で頭が働かないなど

    ◇必要に応じて学生サポーターによるポイントテイクの同席や録音の許可をお願いいたします。

    ◇読字などが遅い場合は必要に応じて試験時間の延長をご検討ください。

「移動」に困難がある学生の配慮・支援例

移動の困難さも様々あります。
◇車いすを使用している
◇身体機能に何らかの疾患または障がいがあり、歩行に困難さがある

  • 授業、試験においての配慮

    ◇車いすが建物の上の階に行けない場合は、車いすが入れる教室の確保をお願いいたします。

    ◇移動に困難さがある学生から申し出がありましたら、エレベーターやエスカレーターのある校舎を使用し、学生がアクセス可能な教室を設定くださるようお願いいたします。

    ◇座席の指定をお願いいたします。

    ◇移動に時間がかかるため、若干の遅刻はお認めください。

  • 移動においての配慮

    ◇初めて行く場所には、事前に歩行練習する必要があります。

    ◇点字ブロックの周辺はスペースを空ける等をお願いいたします。

「聞く」ことに困難がある学生の配慮・支援例

聞こえ方・聞こえにくさは様々です。
◇聴覚に障がいがあると、聴力は異なりますが音が聴き取りにくいことがあります。
◇聴覚処理が苦手で、曖昧な言葉の表現の理解や周りの状況により音が聞き取ることが困難な場合があります。
◇特定の音が苦手で、聴覚が過剰に反応する場合があります。

  • 授業、試験においての配慮

    ◇口元が見えるように、ゆっくり・はっきり話してください。

    ◇「あれ」「これ」「それ」といった指示代名詞ではなく、具体的に何のことを言っているのか伝えてください。

    ◇ざわざわして聞こえにくそうな場合、他の学生に私語を控えるように促してください。

    ◇必要に応じてレジュメを用意する等、話の流れを分かりやすくする工夫をしてください。

    ◇必要に応じて補聴システム用のマイクを使用してください。

    ◇必要に応じて可能な範囲で、学生サポーター等の筆記通訳(手書き、PC)を配置してください。

    ◇視聴覚教材にいついては、文字起こしまたは字幕付与など音声を視覚情報に変換してください。
    ※事前にご相談いただければ、障がい学生支援センターにて文字起こしや字幕付与の作業を行います。

    ◇聴覚が過敏な場合、ノイズキャンセラーやデジタル耳栓の使用を許可してください。

    ◇リスニング等の聴覚を用いる試験に対する代替措置を検討してください。

    ◇ゼミ等で複数の人が同時に発言すると、話の内容やだれが話しているかを把握することが困難です。誰が発言しているかを示すため手を挙げてから話すなど、視覚的にわかるように配慮してください。

「見る」ことに困難がある学生の配慮・支援例

視力や視野、明暗によって、見え方も様々です。
◇視覚に障害があって、見えないもしくは見えにくい場合があります。
◇視野が狭かったり、欠けていて見えない部分があるかもしれません。
◇色の識別が難しいことがあるかもしれません。
◇明るすぎて見えない、または暗すぎて見えないこともあります。

  • 授業、試験においての配慮

    ◇指示代名詞(これ、それ、あれ等)の内容や抽象的な表現が伝わっていない場合は、具体的な表現に置き換えて説明してください。

    ◇色の識別が困難な場合は、板書での色の見え方に配慮し、強調部分は下線や囲み等を活用してください。

    ◇初めて入る教室では、位置情報や周りの状況を伝えてください。

    ◇配布資料につきましては、コースパワーを用いて、電子データでの提供をお願いいたします。

    ◇必要に応じて、教材・配布資料の拡大コピーを用意してください。

    ◇教材・配布資料の点訳が必要な場合は、事前に障がい学生支援センターにご相談ください。

    ◇板書は、できるだけ太く濃く鮮明な文字で筆記してください。

    ◇板書は、可能な限り読み上げてください。

    ◇板書の強調部分は、下線や囲み等も活用してください。

    ◇必要に応じて、パソコン・点字電子手帳での筆記を許可してください。

    ◇筆記以外での解答を許可してください。

    ◇必要に応じて、試験時間の延長を許可してください。

    ◇必要に応じて、音訳や読み上げソフトの使用を検討してください。