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グローバルな視座から「共生社会」を考える

青山学院大学 地球社会共生学部長 岩田 伸人

青山学院大学
地球社会共生学部教授
岩田 伸人 [Nobuto Iwata]

日本とモンゴルのFTA締結をどう見るか

第1回 2017/7/1(土)

日本とモンゴルの間には、まさに近くて遠い関係というイメージがあります。
ノモンハン事件などもありましたが、1991年のソ連崩壊時に当時の社会主義国家モンゴルが市場経済国家へ改革した際に日本政府が経済支援を行ったこと、阪神淡路大震災と東日本大震災の際に、モンゴル政府は国民の総意で救援物資のチャーター便を日本へ派遣したこと、さらには北朝鮮の拉致問題ではモンゴルが仲介役になっていること、大相撲でのモンゴル人力士の活躍、などが象徴するように両国の間には強い絆があります。

モンゴルはロシアと中国の二つの大国に完全に囲まれた内陸国家であるため、何をするにも中露の意向に反することは出来ないという事情があります。内陸国家のリスクとも言えます。他方で、モンゴル人の気質には、日本人に比べると小さいことにこだわらず視野が広くグローバルな事象に直結した考え方をする傾向があります。特にリスクを恐れないモンゴル人の生き方は、私たち日本人が学ぶべき点かもしれません。逆にモンゴル人は、「日本人は何事にも事前に緻密な計画を立てて、それに従って動くのでリスクも少ない」と好意的に評価してくれることもあります。

2016年にモンゴルと日本は自由貿易協定(FTA)を結びました。これによって両国間の貿易は格段に拡大すると期待されていますが、現実を見るとモンゴルから日本への輸出金額は年間で20億円程度、逆に日本からモンゴルへの輸出額は約400億円程度にすぎません。

モンゴルは市場経済国家でありながら、政治的にはロシアと、経済的には中国と関わっていかざるをえない状況にあります。このような状況下で、モンゴルが最も頼りにしている国の筆頭が日本であることには疑いがありません。しかし、私たち日本人は島国の民族であるためか、モンゴルには、「遠い国」のイメージしかありません。他方、少子高齢化の日本は、今の経済規模や水準を今後も維持するには絶対的に就労人口が不足していきます。

モンゴル国の人口は300万人に過ぎませんが、両国の政治・経済の架け橋になりたいという意欲にあふれたモンゴル人の受け入れ枠をさらに拡大することが、両国にとってウィンウィンの関係を築くことにもなります。そのためには、日本モンゴルFTAを活用してもっと相互の人の移動が活発になる必要があります。

プロフィール

青山学院大学 地球社会共生学部教授
岩田 伸人 [Nobuto Iwata]

専門は、国際貿易論、地域統合論。元日本貿易学会会長。
2004年より、日本とモンゴルの貿易面から現地調査や研究を行っている。
熊本(河内)出身、実家は農家。

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