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グローバルな視座から「共生社会」を考える

青山学院大学 地球社会共生学部助教 齋藤 大輔

青山学院大学
地球社会共生学部助教
齋藤 大輔 [Daisuke Saito]

越境とナショナル・アイデンティティ ―共生社会の構築に向けて

第2回 2017/7/8(土)

今日の世界では、あらゆるものが越境している状況にあります。グローバル化の進展の中で、経済や移民問題といったマクロな次元から、我々の身の回りの日常世界においても、この越境が可視化されています。たとえば、日本における外国人観光客の増加、日本文化の海外への展開といったトピックを、メディアを通じて目にすることは珍しくないことになっています。このようなヒト・モノの越境と流動化の進展に関しては一種の期待感が持たれてきました。アジア地域の国境を越えた価値観の共有が可能になるというのがその一例でしょう。また、日本社会における多文化状況の形成もその一つに入るでしょう。異なる文化的背景をもつ人々の存在感は、今日の日本社会の至るところで高まっています。

同時に顕著となっているのが「ナショナル=日本」なものや「ナショナル・アイデンティティ」の強調です。海外で消費される日本文化や日本の習慣・技術を外国人が賞賛するような内容を、メディアを通じて目にする機会もまた珍しいことではないと言えるでしょう。これらからは、多分に「ナショナルなもの」というのを読み取ることができます。また、日本社会における多文化状況が進展する一方で、その境界の引き直しはあるものの、我々と他者の差異自体は依然として存在しています。

つまり、ナショナルの枠を超える動きが加速している一方で、ナショナルなものを確認し、強調し、他者との線引きを行うといったような相反する現象も同時に進行しているのです。そして、時には差異だけではなく、特定の文化的他者を排除する動きにもつながっていると考えられます。

このような状況は、地域社会からグローバル規模まで共通する一つのイシューとなっています。今回は、主に日本とアジアという観点を中心に見ていきたいと思います。

プロフィール

青山学院大学 地球社会共生学部助教
齋藤 大輔 [Daisuke Saito]

長崎県生まれ。西南学院大学文学部国際文化学科卒業。西南学院大学大学院文学研究科博士前期課程修了、タイ・チュラロンコーン大学大学院留学を経て、西南学院大学大学院国際文化研究科単位取得退学、博士(国際文化)。2015年より青山学院大学地球社会共生学部助教。専門は、東南アジア研究、文化人類学。代表的著作は、『トランスナショナリズム時代の社会・文化』(世界思想社、2017年、共著)、『アジアから観る、考える−文化人類学入門』(ナカニシヤ出版、2008年、共著)など

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