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グローバルな視座から「共生社会」を考える

青山学院大学 地球社会共生学部教授 真鍋 一史

青山学院大学
地球社会共生学部教授
真鍋 一史 [Kazufumi Manabe]

人が豊かな共生社会をめざして

第2回 2016/7/9(土)

現在、私たちの日常生活のさまざまな場面で「共生」という言葉がよく聞かれるようになってきました。「共生」という用語が、これからの「社会のあり方」の指針として語られることもあります。そこで、この機会に、「共生」、そして「共生社会」ということについて、少し系統的に考えてみたいと思います。

共生はもともと生物学の用語であり、「ヤドカリとイソギンチャク」の例のように、複数の生物が互いに利益を与えあう関係を示す用語であったようです。しかし、そのような用語法が、そのまま人間の社会関係に転用されるようになると、ある重要な問題がでてくることになります。それは、比喩的に、「主人と奴隷」とでも表現されるような問題です。確かに、「主人と奴隷」のような従属関係も、それがお互いにとって利益をもたらすものであるかぎり、「共生関係」と呼ばれるものであるかもしれません。しかし、それでいいのでしょうか。これからの「社会のあり方」の指針とされるのは、そのような意味での「共生」なのでしょうか。

このような素朴な疑問から、人間社会における共生のあり方を、人間存在の根源にまで掘り下げて再考する試みが求められることになります。そして、その上で、このような試みは、さらに「エコロジー」「フェミニズム」「エイジング」「マルチ・カルチュラリズム」などの社会思想の再検討につながっていきます。

こうして、最後に、「共生社会に向かって」という課題に対して、それをアクチュアルに考えるためのキーワードとして、「感情移入(エンパシ―)」「ウェルビーイング」「コミュニケーション」「脱近代化」などを取りあげ、これらをいわば「補助線」として用いながら、「人間が豊かな共生社会」を構想する実践的な思索に到達することになります。

プロフィール

青山学院大学 地球社会共生学部教授
真鍋 一史 [Kazufumi Manabe]

慶應義塾大学大学院法学研究科修了。法学博士。
専門は社会学・社会調査論・コミュニケーション論。
関西学院大学社会学部教授、イスラエル・ヘブライ大学、米国カリフォルニア大学(UCLA)、ワシントン大学、スタンフォード大学で客員研究員、米国ミシガン大学、ドイツ・ボン大学、フランス・社会科学高等研究院、ドイツ・ケルン大学で客員教授、青山学院大学総合文化政策学部教授を歴任。現在、青山学院大学地球社会共生学部教授、日本学術会議連携会員、統計数理研究所客員教授、日経広告研究所客員。

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