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グローバルな視座から「共生社会」を考える

青山学院大学 地球社会共生学部教授 福島 安紀子

青山学院大学
地球社会共生学部教授
福島 安紀子 [Akiko Fukushima]

文化、戦争、そして平和―共生への道

第4回 2016/7/23(土)

1990年代バルカン紛争に揺れた旧ユーゴ各地で紛争後の復興の仕事に欧州安全保障協力機構(OSCE)の紛争予防担当高等弁務官マックス・ファン・デア・ストール元オランダ外務大臣とともに汗を流した。ボスニア・ヘルツエゴビナの首都サラエボ郊外の中学校で紛争問題を生徒達と議論した後、「私に質問があればどうぞ」と言ったところ、『禎子のツル』を英語の授業で習った。自分たちも平和を願って千羽鶴を折りたいから、折り方を教えて欲しいと頼まれた。これに応えて2時間、皆でノートを破って折り鶴を練習した。それまで民族に分かれて反目していた60人の子ども達が、民族の垣根をこえて一所懸命ツルを折る姿は感動的であった。そして難しい折り鶴がようやく折れるようになって生徒達は口々に「ありがとう」と目をきらきらさせて喜んでくれた。民族対立を超えた瞬間であった。これが私が本テーマを研究する契機となった。

平和的共生というとその反語として戦争や紛争が連想される。フランスの思想家ヴィヴィオルカも文化が生む戦争を語る。実際冷戦終結後はイデオロギーの対立による戦争は激減し、信仰や価値観、歴史観や言語などの広義の文化の違いが紛争やテロの原因だとされることが多い。

果たして文化が戦争を起こすのだろうか。それとも文化は平和を築くことに役立つのか。今、紛争やテロ後の復興や災害後の復興で広義の文化が様々な役割を果たしていることにも目を向けたい。それが「共生への道」につながる。このテーマを旧ユーゴ、東ティモール、アフガニスタン、南スーダンなどの現地調査の経験を踏まえ語る。

プロフィール

青山学院大学 地球社会共生学部教授
福島 安紀子 [Akiko Fukushima]

米国ジョンズホプキンス大学国際問題高等研究大学院(SAIS)卒、修士。大阪大学より博士号。総合研究開発機構(NIRA)主席研究員、国際交流基金特別研究員等を経て2015年4月より現職。その他総理官邸国家安全保障戦略と防衛力に関する有識者委員、外務省審議会委員、米国国際戦略問題研究所客員研究員等を兼務。
主な著書に『多国間外交の論理』(マクミラン)、『人間の安全保障』(千倉書房)。『紛争と文化外交』(慶応義塾大学出版会)等、共著に『東アジア共同体への道』(NHKボックス)『グローバルコモンズ』(岩波書店)等多数。

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