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2017.10.14

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米川いずみさんが、「最優秀学生発表賞(ポスター)」を受賞

米川いずみさん(理工学研究科理工学専攻化学コース2年・阿部二朗教授研究室)が、2017年9月4日(月)~ 6日(水)、東北大学・青葉山キャンパスで開催された「2017年光化学討論会」において、「最優秀学生発表賞(ポスター)」を受賞しました。

この賞は、光化学協会が年1回開催する「光化学討論会」において、学生による研究発表の中から選出され、特に優れていると認められた研究発表におくられるものです。今年の討論会では77件のポスター発表が審査対象となり、そのうち10名の学生に同賞がおくられました。

米川さんの研究発表題目は、「非線形光応答を示す高速逆フォトクロミック分子の開発」です。
阿部研究室で開発された高速フォトクロミック分子*は、紫外光照射によって着色し、紫外光照射を止めると室温程度の熱により直ちに元の無色状態に戻る、従来にない高速消色速度を有します。さらに、着色した安定な状態に可視光を照射すると無色になり、照射を止めると元の着色状態へと戻る、珍しい色変化を示す高速フォトクロミック分子も発見されています。従来と逆の色変化を示すものを、逆フォトクロミック分子と言います。

米川さんは、高速逆フォトクロミック分子を用いて、照射する光の強弱に応じて分子の性質を自在に制御することが可能な、非線形光応答を示すフォトクロミック分子の開発に成功しました。逆フォトクロミック分子の利点を生かし、紫外光よりエネルギーの小さい可視光を利用して、照射光の強度に応じた色の制御を達成しました。このフォトクロミック分子は橙色が安定ですが、弱い光を照射した際は黄色へと変化し、さらに強い光を照射すると色が消えて無色になります。

米川さんの発表は、可視光の強度に応じて分子の性質を制御した研究成果と、優秀なプレゼンテーションや質疑応答の態度が評価され、「最優秀学生発表賞(ポスター)」に値すると認められました。

  • フォトクロミック分子とは・・・

    光照射によって分子の構造が変化し、色や分子の性質の変化が起こった後、熱や光によって可逆的に元の状態へと戻る分子を指します。光によって構造や性質の制御が可能であることから、2016年にノーベル化学賞を受賞した分子マシンや分子スイッチなど、様々な分野への応用が期待されています。阿部研究室で開発された高速フォトクロミック分子は従来にない消色速度を有しており、屋外でのみサングラスに変わる眼鏡レンズや、リアルタイムで立体動画を作り出せる実時間ホログラムなどへの利用が注目されています。