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サイエンス&テクノロジーが切り開く新たな世界

理工学部物理・数理学科教授 下山 淳一

青山学院大学
理工学部物理・数理学科教授
下山 淳一 [Junichi Shimoyama]

未来にはばたく超伝導技術とそれを支える科学―リニア、エネルギー、医療―

第2回 2016/7/9(土)

“超伝導”は100年余り前に発見された特異な物理現象で、その最大の特徴は電気抵抗ゼロで通電できることです。銅や銀などの金属も電気抵抗が無いように思われがちですが、これらは微小ながらも電気抵抗があり、超伝導体ではありません。ゼロか微小か、差はほんの少しですが実は大きな違いで、超伝導材料でしかできない機能、応用がたくさんあります。しかし、超伝導材料は極低温に冷却しないと使えません。このため、液体ヘリウム(沸点-269℃)を冷却に用いた機器、特に超伝導磁石がこれまで開発され普及してきました。最も代表的なのが医療用のMRI装置に組み込まれている磁石で、また、単結晶シリコンの引き上げ装置にも広く使われています。さらにJR東海が建設を始めた中央リニア線の車体の側面にも超伝導磁石が装着されています。さて、近年、液体窒素でも超伝導を示す高温超伝導材料が開発され、新たな超伝導応用の世界を拓きつつあります。なかでも超伝導送電ケーブルは、国内の横浜、石狩のほか世界各所で試用が積極的に進められています。電力ロスが無い送電が可能で、太陽電池や風力発電との組み合わせにおいても超伝導技術の利用が適していることから、エネルギー問題の軽減に大きく貢献できるわけです。

以上のように超伝導材料・機器システムは、成長期にあり、その普及が望まれていますが、一方で新超伝導体やその材料化の話題も続々と湧いています。本講座では、超伝導技術の現状と今後の展開と夢、およびそれらを支える科学について、超伝導物質や技術の革新におけるブレークスルーやエピソードをまじえながら、わかりやすく紹介します。

プロフィール

青山学院大学 理工学部物理・数理学科教授
下山 淳一 [Junichi Shimoyama]

1962年、岐阜市生まれ。岐阜県立加納高校卒業後、東京大学入学(理科一類)、工学部、大学院工学系研究科化学エネルギー専攻修士課程に進学。修了後、1988年、旭硝子株式会社入社(中央研究所勤務)。1993年、東京大学工学部助手、講師を経て1999年、同助教授(2007年、准教授に改称)。2015年、青山学院大学理工学部教授。現在に至る。
専門は固体欠陥科学、超伝導材料科学。特に超伝導体については基礎から応用まで幅広く研究を網羅。企業や内外の研究機関との共同研究を多数実施。現在、一般社団法人 未踏科学技術協会超伝導科学技術研究会 会長、公益社団法人 低温工学・超電導学会 執行理事などを務める。著書に「トコトンやさしい超伝導の本」(2003年初版)など。

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