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サイエンス&テクノロジーが切り開く新たな世界

理工学部情報テクノロジー学科教授 山口 博明

青山学院大学
理工学部情報テクノロジー学科教授
山口 博明 [Hiroaki Yamaguchi]

移動・飛行ロボットの先進的自動制御

第3回 2017/7/15(土)

我が国の国民生活・経済活動を支える社会基盤の一つである道路交通システムの安全性、効率性の向上は重要な研究課題であり、これに関わる技術の進歩を促すことは、将来継続して重点的に行われるべきであると考えられます。平成25年に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」では、世界で最も安全な道路交通社会を実現するために、2020年代中における自動走行システムの試用開始が目標として掲げられています。

本学理工学部情報テクノロジー学科先端知能ロボット工学研究室では、道路上における橋梁部材、鉄道車両、航空機の胴体・翼などの大型重量構造物の搬送の安全性、効率性の向上を目標として、「自動走行マルチステアリングトレーラシステムの開発」を行っております。本システムでは、複数の車輪にステアリング機能を導入することで操舵性を高め、従来走行が困難であった狭隘環境における搬送の自動化を目指しております。

通常のトレーラシステムでは、ドライバーが一人で加速・操舵・制動を行います。一方、マルチステアリングトレーラシステムでは、ドライバーが一人で、加速・複数の操舵・制動を行うことになります。走行環境内の障害物(道路上の信号機、中央分離帯、道路に隣接する建物、塀、電柱など)との干渉を避けるために、ドライバーが一人で複数の操舵を行うことは訓練を以てしても困難であると言えます。

このため、本システムでは、ドライバーが全く関与しない完全自動走行を前提としております。狭隘環境における走行では、障害物の間近で搬送対象物を移動させることから、二次元的な地図情報だけではなく障害物の三次元的な情報も含める地図情報の高度化が必要となります。三次元地図情報空間を障害物との干渉判定を通して確率論的にグラフ構造化し、走行可能な経路を自動探索する計算幾何学の研究も行っております。

また、本研究室では、「空の産業革命」と言われるドローン(無人航空機)の産業応用の基盤技術である自律飛行動作計画と制御の研究を行っております。プラントなどの生産設備や送電用の鉄塔などのインフラ設備における高所点検や、災害対策のための地物測量などの作業にドローンを利用する研究が盛んに行われております。簡易な構造でありながら制御性が高いマルチロータ型ドローンを用いた建造物の自動点検のための飛行動作計画システムを開発しております。

本システムでは、作業環境を模した仮想現実(VR)環境内にナビゲータが没入し、三人称視点でドローンと建造物、障害物との間の相対的な位置関係を直感的に把握しながら飛行動作を計画することで、操縦経験から得られるノウハウを経路(軌道)設計に反映させることができます。計画された経路(軌道)に追従させる動力学的なフィードバック制御の研究も行っております。

本公開講座では、自動走行マルチトレーラシステム、マルチロータ型ドローンの経路(軌道)計画と制御に関する最新の研究成果を、実験、シミュレーションを通して紹介し、今後の研究動向について解説します。

プロフィール

青山学院大学 理工学部情報テクノロジー学科教授
山口 博明 [Hiroaki Yamaguchi]

東京大学工学部精密機械工学科卒業、同大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻修士課程、博士課程修了、博士(工学)。カリフォルニア工科大学研究員などを経て現在に至る。日本機械学会賞(論文)受賞。日本機械学会、計測自動制御学会、日本ロボット学会、精密工学会などの正会員。

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