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もう一度、基礎から学問を

青山学院大学 社会情報学部准教授 香川 秀太

青山学院大学
社会情報学部准教授
香川 秀太 [Syuta Kagawa]

「学び」の基礎:個人の発達から関係性の発達へ

第4回 2016/11/5(土)

学習、学びという言葉から、どのようなことを連想されますか。学習や発達に関する研究を行ってきた心理学では、ここ十数年で学習概念が大きく変化をしてきました。従来は、知識やスキルを頭や身体の中に取り込んでいくことを学習と位置づけてきました。たとえば、テキスト・教科書の知識や組織に求められるスキルを効果的に習得する方法や、成績を上げるのに効果的な教育方法を検証していくような研究が主流でした。

一方で、現在は、終身雇用や経済成長神話や強いリーダー神話が崩れたり、情報化が進み、人々が新しいつながりを得る機会が増えていったりしています。そうして、人々の動きが全体的に流動化し、特定の権力者の力が弱まり、社会がますます変化していく中で、統制のとれた中央集権的組織や、上からの指示を守って課題を遂行できる人材だけでなく、むしろ既存の枠組みを超えて、新しい問いを投げかけ、新しい知識を生み出し、異分野や外の組織と新たにつながり共同して新しい物事を生み出していく人や活動がますます求められるようになってきています。

それはまた、画一性の社会から、多様性をいっそう重視した社会への移行でもあります。多様性を重視するということは、自分とは異なる他者や異質な文化・集団との関係性を社会の軸に置くことを意味します。

まとめますと、今、学習とは、「個人による知識やスキルの習得」ではなくむしろ、「新しい知識を生み出すこと」であったり、「異集団や異質な他者と共同で新しい人、モノ、コミュニティ・ネットワークをデザインすること」へと、変化してきているのです。従来の狭い学習観を超えて、学習は、創造性、異質性、遊び、ネットワーク、組織、場づくりというような概念や観点と結びつき、拡張されています。

この講座では、新しい学習理論の基礎的なご説明や、それを基にした社会の中での実際の事例のご紹介、そして、体験的な演習を提供させていただく予定です。

プロフィール

青山学院大学 社会情報学部准教授
香川 秀太 [Syuta Kagawa]

2007年筑波大学大学院人間総合科学研究科心理学専攻博士課程修了。博士(心理学)。専門は、教育心理学、フィールド学習論、活動理論。特に、多様な人々や異なる集団がつながる中でのコミュニティづくりや学習過程について研究。著書に、「越境する対話と学び:異質な人・組織・コミュニティをつなぐ」(新曜社、共著)など。

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