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都市と芸術

青山学院大学 文学部教授 水野 千依

青山学院大学 文学部教授
水野 千依 [Chiyori Mizuno]

ルネサンス都市フィレンツェにおける芸術

第1回 2017/11/18(土)

フィレンツェといえば、イタリア・ルネサンス発祥の地として名高く、そこに花開いた芸術文化は、ボッティチェッリ、レオナルド、ミケランジェロなどの芸術家の名前とともに、日本でも親しまれています。

「都市と芸術」をテーマとする本講義では、とくにイタリアにおける都市国家の形成と都市文化の復興を背景に、芸術が、都市政策や市民生活のなかでいかなる役割を担って息づいていたのかに焦点を当てます。

11世紀以降、イタリアでは封建領主の支配を脱し、自治政府による都市国家(コムーネ)が独立しはじめます。トスカーナ地方では、1115年、トスカーナ辺境伯カノッサのマチルデが死去して以後、ピサ、ルッカ、フィレンツェ、シエナ……が自治都市を宣言します。皇帝派(ギベリン)であったピサやシエナと、教皇派(グエルフ)であったフィレンツェのあいだで派遣抗争が繰り広げられるなか、商業や金融業により蓄積された経済力を基盤に、各都市は、旺盛な都市建設を推進していきます。こうして、古代ローマ以来、衰退していた「都市文化」が復興します。13世紀後半になると、ルッカやピサに代わりフィレンツェがトスカーナの覇権を掌握し、領土拡張に乗り出すとともに、古代に範を求めるルネサンス文化を胚胎する土壌が形成されていくことになります。

こうした歴史的経緯をふまえながら、今日、目にすることのできるフィレンツェの都市景観の基礎が作り上げられていく14、15世紀を中心に、宗教建築、公的世俗建築、個人の邸宅、さらに領土内の従属都市や城塞……など、さまざまな場で活躍した芸術家たちの功績に目を向け、場と結びついた固有の意味や機能を担っていた芸術作品のあり方を考察します。

プロフィール

青山学院大学 文学部教授
水野 千依 [Chiyori Mizuno]

青山学院大学文学部比較芸術学科教授。
京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在は、青山学院大学文学部教授。専門はイタリア・ルネサンス美術史。主著に『イメージの地層――ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言』(名古屋大学出版会、2011年、第34回サントリー学芸賞ほか受賞)、『キリストの顔――イメージ人類学序説』(筑摩選書、2014年、地中海学会ヘレンド賞受賞)、主要訳書にディディ=ユベルマン『残存するイメージ――アビ・ヴァールブルクによる美術史と幽霊の時間』(共訳、人文書院、2005年)、『キマイラの論理――記憶の人類学』(白水社、2017年)などがある。

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