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都市と芸術

移民都市ニューヨークの絵画

第2回 2017/11/25(土)

青山学院大学 経済学部教授 金田 由紀子

ニューヨーク市は、ニューヨーク州の最南端・大西洋岸にあり、天然の良港にめぐまれた「港町」として発展した。大西洋に流れこむハドソン川も、この都市の発展に多いに貢献した。水が創った都市でもある。現在、5つの行政区(マンハッタン、ブルックリン、クィーンズ、ブロンクス、スタテン・アイランド)からなっているが、陸続きのブロンクス以外は島である。近年、島から島へのフェリーを使っての交通が復活してきた。

1626年にオランダ人が入植を始めたマンハッタン島は、当初、ニューアムステルダムと呼ばれ、その後、1664年にイギリス(ヨーク公)の植民地となり、独立後も、ニューヨークの名称が続いている。

17世紀入植当初から、多言語都市であった。海を介して世界中の人々(植民・航海士等)がやって来たので、17世紀中頃には、この都市で18種類の言葉が話されていたとある本には記されている。現在でも様々な言語の新聞が発行され、また多言語が話されているが、自分によく聞こえてくるのは、わかる言葉だけである。

人口約800万といわれるが、世界有数の移民都市である。ニューヨークにおける「移民と絵画」――本テーマをこのように設定してみたが、移民が創造した芸術とも、移民を描いた芸術ともとれよう。この都市で活躍してきた移民画家は枚挙にいとまがない。20世紀中頃に、世界を圧巻した抽象表現主義には、ウィレム・デ・クーニング(オランダから)、マーク・ロスコ(ラトビアから)、ハンス・ホフマン(ドイツから)など代表的画家がいる。日本からの移民、国𠮷康雄はアメリカ美術界で名をなしたが、第二次世界大戦後にも、多数が日本から渡米し、ニューヨークの美術界で活躍してきた。

移民を描いた絵画は、まず、20世紀初頭のジョン・スローン、ジョージ・ルカス、ジョージ・ベローなどがいる。当時の移民(東欧・南欧などの出身者)を描いた画家たちである。現代のニューヨークでは、移民はどのように描かれているのであろうか。この点にもスポットを当てたい。

ニューヨークは観光で訪れた方も多いであろう。移民をめぐる地理や歴史を概観し、具体的な美術作品を解説しながら、この移民都市と美術との関係をお話ししてみたい。

プロフィール

青山学院大学 経済学部教授
金田 由紀子 [Yukiko Kaneda]

青山学院大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程後期満期退学。ブラウン大学大学院(Department of English)修士課程修了。著書は、編著『ニューヨーク:周縁が織りなす都市文化』(共編著者:佐川和茂 2001年 三省堂)、共著『概説アメリカ文化史』(笹岡・堀・外岡編著 2002年 ミネルヴァ書房)等。近年の論文には「ニューヨークのジャポニスム:ジョン・スローンの赤い着物」(2013年、ジャポニスム学会)などがある。

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